下請法という法律をご存じですか?

1 下請法
  
 正式には「下請代金支払遅延等防止法」という名前の法律で, 主として下請業者の正当な利益を保護することを目的とした法律です。
 公正取引委員会が主管官庁であることからもわかるとおり,独占禁止法を頂点とする取引の公正な秩序を守る法律の1つとなります。
 毎年6月ころになると,親事業者に対する書面調査,11月ころには下請事業者に対する書面調査がなされ,回答することになります(虚偽回答等には罰則があります)。
 書面調査や下請事業者からの情報提供によって,下請法違反の疑いがあると判断されると,立入調査等に進み,指導や勧告等の措置に進むことがあります。
 事業活動の上で,下請法は実務上大変重要であるといえます。

2 対象事業者

  すべての取引が下請法の対象になるわけではありません。
(1)資本金額と取引の種類
   親事業者と下請事業者,取引の種類に応じて,適用の有無が異なってきます。
   なお,例えば建設工事に係る下請負取引には下請法の適用はありませんが,類似の規制が建設業法に設けられていますので,下請法の適用がないからといって安心はできません。なお建設業者であっても,下請法の適用対象事業にあたる取引には当然下請法の適用があります。

(2)親事業者の義務
   発注書面の交付義務,下請代金の支払い期日を定める義務,取引経過書類の作成,保存義務,遅延利息の支払い義務などがあります。

(3)親事業者の禁止行為
   買いたたき,不当な経済上の利益の提供要請,不当な給付内容の変更,やり直し,受領拒否,返品,代金の支払遅延,減額,報復措置などが禁止されています。


3 下請法違反防止のチェック,是正

  下請法違反は,故意に行っている場合もありますが,うっかりミスで生じてしまう場合もあります。
  違反防止のためには
  ①社内で下請法について研修の機会を設ける
  ②下請法違反防止のチェックリストを作成し,定期的に実施する
  ③書面調査における回答を現場任せにせず,幹部職員が,取引実態も含め確認する


  といった対応が必要です。


  円安やウクライナ戦争などの影響によって原材料の高騰が起きているにも拘わらず,親事業者が不当に納入代金を据え置いたりすることは「買いたたき」に該当し,調査の対象となる可能性があります。ご注意ください。


 長野第一法律事務所では,下請法違反,是正,予防,公取委の調査に関する対応,下請法に関する研修の実施(親事業者),逆に下請法違反の疑いがある取引を要求されている場合の対応(下請事業者)も取り扱っていますので,お気軽に御相談ください。



              money_choubo