Q わたしの夫は,5年ほど前に行方が不明となって,そのまま現在まで音信不通となっています。
  わたしとしては,帰りを待っていましたが,戻る見込みがないのであれば,夫婦の関係を解消したいとおもっていますが,どのようにすれば良いのでしょうか。
  友人に相談したところ,離婚届けに誰か別の人に名前を書いてもらって協議離婚してしまえばいいと助言されましたが,そのようなことで良いのでしょうか?

A
(1)離婚事由の1つに「3年以上の生死不明」があります。
   家庭裁判所に離婚訴訟を提起し,認容判決が得られれば,離婚することができます。

(2)「行方がわからないだけで,どこかで生きている(例えば,1年前に本人の自筆と思われる葉書が届いたことがあるなど)」といった場合には,3年以上の生死不明にはあたらないこともあります。  
   そのような場合でも,長期間行方不明で,夫婦としての内実を伴った関係が存在していないという場合には,「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」を理由として,離婚訴訟を提起することが考えられます。

(3)いずれの場合でも,家庭裁判所に離婚訴訟を提起する必要がありますが,この場合,ほとんどが訴状の公示送達手続(被告である他方の配偶者の居場所がわからないため訴状を届けずに,裁判所の掲示板に掲示することで送達したことにする手続)をとることになります。
   公示送達自体が,相手方の反論の機会を事実上奪ってしまうものとなりますので,離婚のような重大な身分行為については,「手を尽くして調べても,訴状を送るべき居場所がわからない」ということを裁判所にきちんと説明することが求められます。
   
(4)第三者に夫の署名を代筆してもらって,協議離婚届を作成したり役所に提出することは,犯罪行為になりえますので絶対にしてはいけません。その第三者にも重大な責任と迷惑がかかりますので,やめましょう。


(5)失踪宣告という手続もありえます。この場合「7年以上の生死不明」が要件となることと,「離婚」ではなく「死別」による婚姻関係の終了となります。
 相続したい財産がある場合などはこちらを選択したほうが良い場合もありますが,その後に生存していることがわかった場合には,再婚関係や相続財産の返還など厄介な問題が起きることもあります。




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