新型コロナウィルスの影響で,飲食店,観光関連産業などで金融機関への債務返済が苦しくなっている事業者の方も増えているようです。

 資金繰りの状況から,このままだと資金ショートを起こして倒産するという場合でも,金融機関の債務(借入金)の返済について,元本の支払い猶予などの仕切り直しをすることで事業を存続できる場合があります。

 これをリスケジュール(リスケ)といいます。
 いわば企業の債務整理(事業継続を前提としたもの)です。
 金融機関の元本返済を猶予してもらうことができれば,資金繰りは楽になります。

 ただし,リスケジュールは,「資金繰りが大変だから何とかしてほしい」と闇雲に金融機関に泣きつくのではうまくいきません。金融機関としては,事業によって利益が出ているかどうか,元本返済を猶予することで黒字化が見込めるのか,それはいつ頃なのか,このままだと倒産の危険があるのか,といったことを考慮し,経済的合理性(=金融機関にとってのメリット)が見いだすことができればリスケジュールに応じますし,そうでなければ,リスケジュールには応じません。

 したがって,リスケジュールの交渉は,①予測される資金繰りの資料(リスケの必要性の有無),②リスケを行った場合の黒字化のめどが具体的に数字でつかめる資料,③具体的,実効的な経営改善計画書,④借入状況や担保の状況整理一覧表などを用意することが必要となります。
 
 なお,通常,リスケジュールを行うと当面新規(追加)の借り入れはできなくなりますので,ある程度手持ち資金に余裕がある状況でないと,リスケはうまくいきません。リスケは1週間や2週間では到底できません。また,借入先の金融機関が複数あるとその調整にも時間を要します。

 普段から予定資金繰り表を作成するなどして,6ヶ月,少なくとも3ヶ月先の資金繰りの状況は把握しておくべきといえます。

 なお,新型コロナウィルスの影響により売り上げが減少した中小企業については,各都道府県の中小企業再生支援協議会による「新型コロナウィルス感染症特例リスケジュール」の手続きを利用することも考えられます。

 当事務所では,破産手続きのような倒産処理だけではなく,リスケジュールの手続支援(方向性の助言,資料作成),代理(金融機関との交渉)も行っています。

 資金繰りが厳しい事業者の方は,早めにご相談下さい。

 
 
 
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